私たちが生きている今日は、亡くなった方々が生きたかった今日です


毎日新聞 10月25日“余録”に、心に響くコラムがありました。

僕たちって、生かされているんだなぁー。
そして、「今」に生きる希望をくれるような気がします。

 

《「私たちが生きている今日は、亡くなった方々が生きたかった今日です」。仙台市のJR東日本東北の長谷部純主将は選手宣誓で、そう述べていた。22日、京セラドーム大阪で開幕した第82回都市対抗野球大会の開会式でのことである

 

「正直、今日、この京セラドーム大阪にいることが信じられません」。こう始まった宣誓は、自然の猛威に奪われた多くの人命を悼み、冒頭の言葉へと続く。そして言う。「今、生きていること、働けていること、野球ができることに感謝の気持ちでいっぱいです」

 

その大会3日目、仙台市・JR東日本東北の森内寿春投手は横浜市の三菱重工横浜を相手に完全試合を達成した。スポーツの記録は数々あるが、野球の完全試合は個々の力や思いだけでは手のとどかぬ輝きを放つ偉業だ。「大会史上54年ぶり2人目」がそれを物語る

 

震災直後には泥に埋まった駅舎の片付けなどにあたったチームだ。森内投手も代行バスの案内をした。被災地の惨状を前に、長谷部主将は再びユニホームを着る日が来るとは思えなかったという。5月に再開された練習での「野球」が震災前と同じだったはずはない

 

震災で突然に未来を奪われた人々が生きたかった今この時間である。それを私たちはどう生きるのか。一人一人が自らのなすべきことに思いをめぐらした震災後の日々だ。「野球などしている時か」。そう悩みながらも、「野球をすべきだ」と思い定めた人々がいた

 

この世でなすべきことに全力を尽くす--人々の生きられなかった未来、果たせなかった夢を負った被災地代表チームの「完全試合」が今野球史に刻まれた》

(毎日新聞 10月25日“余録”より)

 


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